2006.09.18 NEW YORK

[Setlist]
I Can't Explain / The Seeker / Anyway Anyhow Anywhere / Fragments / Who Are You / Behind Blue Eyes / Real Good Looking Boy / Sound Round / Pick Up The Peace / Endless Wire / We Got A Hit / They Made My Dreams Come True / Mirror Door / Baba O'Riley / Eminence Front / Black Widow's Eyes / Mike Post Theme / You Better You Bet / My Generation / Won't Get Fooled Again

(encore) Pinball Wizard / Amazing Journey / Sparks / See Me Feel Me - Listening To You / Tea And Theatre


私にとってのNYCの一番のイメージは、John Lennon。それから音楽の縁の地では、PeteやRoger、Johnがライブを行ったカーネギー・ホール、ラジオシティ・ミュージック・ホール、BBキング・ブルース・クラブ。そして……伝説的なステージが何度も繰り広げられてきたマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)!!!この会場でThe Whoを見ることも、私の1つの夢だった。

前夜BosotonからNYCに入り、その街の大きさと活気に圧倒されながら、その夢がどのように実現していくのか胸の高鳴りはおさまらなかった。



宿から真っすぐ南に下り、エンパイア・ステートビルを左手に大通りを右に折れて会場へ向かった。
チケットの引き換えをBOX officeで行ったが、時間が早かったため、まだファンの姿はちらほらしか見えなかった。左右に分かれているゲートを見ると、数時間後にここから入る自分を想像して興奮した。
建物を出た後は、まわりをぐるりとまわって外観の写真を何枚か撮った。正面に戻ってきた時にスクリーンで今夜のライブの宣伝をやっていたので、タイミングを計ってRogerの姿もカメラに収めておいた。

ライブ前はBostonの時と同じように近くのパブに行き、他のThe Whoファンと一緒に盛り上がってみた。店内のスクリーンには『LIVE AT ROYAL ALBERT HALL』が流され、Johnも元気に指を動かしまくっていた。ファンは歓喜の声を上げ、歌い出す。Bostonで初めて会ったファンで私のことを覚えてくれていた人は、声をかけてくれた。そして、数年に渡ってメールで親交を深めていたファンの1人にも初めて会うことができた。ここでもまたBostonの時と同じ思いが沸き上がってきた。ツアーがあるごとに皆で集まってきたアメリカのファンが羨ましい!The Whoと共に年齢を重ねてきたファンが羨ましい!

前座が始まった頃、そろそろといった感じでみんな移動を始める。私も一緒に動いた。会場に入ってからは席がバラバラなので、ゲートで別れた後は少しばかりグッズを見たりした。UKツアーの時よりもグッズが増えている。革ジャンやバックルなど、ちょっと値段がはるものも並んでいた。Tシャツの種類も多いような感じがした。

ステージは2日前のBostonと変わらなかった。新曲のセットリストは1度聴いたことによって、不思議なことに馴染みのあるもののように感じられた。毎回同じように見えても、毎回アレンジの違うステージ。一晩一晩ごとに熱のこもったパフォーマンスをしてくれるバンド。しかし、MSGへの私の思いが強すぎたのか、いつものようにのめり込んでライブを見ることができなかった。何か物足りなかった。せっかくステージに近いところにいたにも関わらず、周囲のファンは大合唱するタイプではなく、携帯電話で必死に写真を撮るタイプの人たちだったというのも原因だったのかもしれない。そしてもう1つ。The Whoのライブに彩を加えるMSGならではのライティング。夢にまで見たライティングがないことで、寂しくなった(特に、「Baba O'Riley」の時)。今回のツアーではバックスクリーンに映像を映し出すので、会場独自のライティングが見ることができないなんて……。

おそらく素晴らしいライブだったのだろうが、1つネガディブな面が見えてくると、どんどんと深みにはまっていってしまった。RogerのMCは少ないし、ノリもいまいち(例えば、「You Better You Bet」で観客にマイクを向けて歌わせなかった。それから「My Generation」でアレンジやジャムがなかった(「Cry If You Want」も入れてしまう日もあるのに!))。本編最後に行ったメンバー紹介では、名前のみ言うだけで形容詞も説明もなし。いつもは手を振るメンバーだが、Zakは立ち上がりもしなかった。
この雰囲気はどこからくるのか。そういえば機材の調子は悪かった。「MSGの音響ってこんなもの?スポーツアリーナだから?」とも思ったが、どうやら本当にトラブルっぽい(後日のレビューにも書かれていた)。「Eminence Front」のイントロでは、Zakのイヤホンの調子が悪かったらしく、袖のスタッフへジェスチャーで必死に何かを伝えていた。

ただ、このようなステージの中、Bostonに引き続き素晴らしかったのは、新曲におけるSimonの活躍ぶり。まさに縁の下の力持ちである。ギターの持ち替えもさることながら、今日は特に「Black Widow's Eyes」でのコーラスが良かった。

もう1度言っておくが、盛り上がっていなかったわけではない。たぶん私のMSGに対する気持ちの問題だったのだと思う(それがこのレポートの根底にある正直な部分)。「Won't Get Fooled Again」や「Pinball Wizard」では客は拳を突き上げて大合唱していた。しかし、私はそれをどこか遠くから客観的に見ていて、違う空間にいるように気持ちがふらふらと彷徨っていた。そして……、The Whoのライブで初めてラストを待たずして席を立ってしまった。これに関してはどうしても自分で説明がつかない。早めに外に出なくてはいけない理由はあったのだが、最後の「Tea And Theathre」まで聴いてからだって遅くはなかったのに。ステージにたった2人で立っているPeteとRogerを見て寂しくなったのか。いや違う。その姿には「ありがとう」という気持ちでいっぱいだった。



ライブ後、近くのホテルで友人に会い、深夜0時から2時まではBBキング・ブルース・クラブでトリビュートバンドWHO'S NEXTのステージを見た。そこにもファンが集まっており、眠らない街NYCでのThe Whoの宴は続いていた。他の州からやってきたトリビュートバンドのメンバーもゲストとしてステージに上がったりと、ファン同士の絆の強さ(仲の良さ)も印象的だった。そしてライブが終われば、皆手を振り、「また次のツアー(ライブ)で!」と笑顔でサヨナラ。
MSGのライブには納得いかなかったものの、何故The Whoがこの街を愛しているのかが分かったような夜だった。

(2007/03/04 b-ko)


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