2006.07.05 LIVERPOOL SUMMER POPS 06

[Setlist]
I Can't Explain / The Seeker / Anyway Anyhow Anywhere / Who Are You / The Kids Are Alright / Behind Blue Eyes / Real Good Looking Boy / Let's See Action / Mike Post Theme / Baba O' Riley / Love Reign O'er Me / You Better You Bet / My Generation / Won't Get Fooled Again

(encore) Substitute / Pinball Wizard / Amazing Journey / Sparks / See Me Feel Me / Listening To You 


Beaulieuでのライブの翌日Londonに戻り、イギリス到着以来初めてゆっくりした1日を過ごした。そして次の日(7月5日)の朝、小さな旅行鞄に荷物を詰め、Readingへ向けて出発した。LondonからReadingは電車で約30分。窓の外を見ると小雨。Liverpoolでの天気が心配になる。Readingに着くと、駅の改札で友達の旦那さんに車で拾ってもらい、Henley-on-Thamesにある友達の家へ…。
前置きが長くなったが、今回のLiverpoolへの旅は、このHenleyの友達の家から始まった。彼女が運転する車で約4時間。Liverpoolまでの道中は楽しかった。USツアーがあればイギリスから飛んで行き、1ヶ月でも2ヶ月でも同行してしまうくらいパワフルな(だった)彼女の話を聞いていると、こっちまで何十公演もライブを見た気分になってきた。

2年ぶりに訪れたLiverpoolは、相変わらず工事だらけだった。2008年のヨーロッパ文化都市に選ばれて以来、急ピッチで街の整備が行われ、新しい建物がどんどんと建ち…Liverpoolはここ数年でずいぶんと変わってきたと思う。どんよりと曇った空が似合う街ではあるが、モダンな雰囲気が溢れてきている。そして、今の時期は街のあちらこちらに「SUMMER POPS 06」の黄色いポスターや垂れ幕がある。そう、これがThe Whoも出演するイベント。他の出演者には、Jools HollandやBryan Adams、Simply、Pet Shop Boys、James Brown、New Order、Simple Minds、a-ha、Westlife、Jeff Beck & Buddy Guy、Il Divoらがいる。このSUMMER POPSもBeaulieuと同じく、1日に1メインバンド出演にサポートバンドがつく。The Whoの2日間のサポートはもちろんSimonのCasbah Clubだ。

 

友達とは別々の宿にチェックインした後、16時ぐらいだったか、早めに会場に足を運び、ぶらぶらと散歩をした。会場は本当にテント。サーカスが始まりそうな…。
会場の周りにはすでに何人ものファンが集まっていたので、開場時間まで彼らとおしゃべりを楽しんだ。1960年代からThe Whoを見続けている人、Keithからスティックをもらったことがある人、今UKツアーではLeedsからT in The Parkまで北部を全部制覇する人、ファン同士のカップル、Rahcelのブログ上で知り合いになった人たち…色々なファンがいた。その中の1人、スペインから来ていた女性にお願いして、彼女が購入したVIPチケット(いわゆるゴールデンサークル・チケット)の写真を撮らせてもらった。プラスチックでできた豪華なチケット。素晴らしい記念品になるに違いない。私もいつか買ってみたい…。
開場時間と前座スタートの時間がせまってくると、楽しいおしゃべりもお開き。各自のチケットを握りしめ、1人、2人その場を離れていった。



テントのキャパは4500人。スタンディングはなく、全席指定。簡素な造りからか、キャパ人数よりも狭く感じた。私の席はPinoサイドのスタンドで、ステージに近いながらも全体が見渡せる場所だった。指定席の会場でフロアーに席を取ってしまうと、背の低い私は何も見えなくなってしまうので、スタンドの席があるのはありがたい。ライブが始まれば全員立つが、段差があるので前の人の頭は気にならない。

さて、今夜もPeteの力あるギターの音と共に始まった「I Can't Explain」。オープニングには、もうこれ以外ありえない。待ってましたとばかりに、ファンが拳を突き上げる。テントの空気が一気に薄くなったような気がした。
1曲終わったばかりなのに、すでにアンコールで聞かれるおなじみの「WHOコール」が。初っぱなから、何かスゴいことになっていた。Peteもご機嫌にMCを続ける。「昔にLiverpoolで演ったときは、マージー川は汚かった…。けれど、今はキレイだね」と、ご当地話もしっかりと盛り込んでいく。

何曲か終わった後に、ふと気がついた。Hyde ParkとBeaulieuとの違いに。それは、単純なことなのだけれども、室内だということ。野外の雰囲気も良かったが、室内だとライティングが冴える(これは横浜と大阪の違いと同じ)。特に「Baba O'Riley」などのシンセサイザーとのマッチングがある曲だと、感動はひとしおだ。そして室内で席が決まっているため、無闇に暴れたり、ステージに突進したりする人がいない。イコール「盛り上がっていない」というわけではなく、盛り上がり方の根本が違っていた。この日のライブでは、とにかくオーディエンスの合唱がすごかった。テントが破れるかと思うほどだった。これについては、PeteもRabbitも日記に書いていて、「オーディエンスが暖かく、大合唱がすごかった」と言っている。

今夜も「The Kids Are Alright」も原曲に近いショートバージョン。そして曲が終わった後に、なぜかPeteがRabbitだけ紹介をした。「Rabbit、今夜は随分とシャレたシャツを着ているね」と、からかいながら。するとRabbitが立ち上がり、オーディエンスに向けてシャツを披露した。実は後から分かったことなのだが、これには裏話(?)があり…。RabbitがステージでFreeやCasbah ClubのバンドTシャツを着ているをPeteが気にしていたらしく、「もっとちゃんとしたステージ衣装にしなよ」と助言していたらしい。しかし、当のRabbitには服のセンスがなく困っていた。で、この日はなかなかオシャレなシャツを着ていたため、Peteがわざわざ褒めたという。さらに後日(Berlin公演の日)RabbitがRachelのウェブキャストに出演した際には、PeteとRachelがオフ日の買い物でRabbitのために買ったシャツを披露していた。それ以来、RabbitがステージでバンドTシャツを着ているのは見られなくなった。

と、話がそれてしまったが、ステージの雰囲気はそれだけ楽しそうだった。「Real Good Looking Boy」の前のPeteの解説も、日に日に長くなっていっているような気がした 。
今回のツアーでは、「The Kids Are Alright」がショートバージョンになったりしているが、Rogerのアレンジが一番変わったのは、この「Real Good〜」だと思う。「Now I'm here with you little darling」のところから、かなり大胆に歌い方を変えていた。先の2公演でも何か違和感があると思っていたのだが、はっきりは分からなかった(Hyde Parkで聴いたときは、Rogerのミスかと思った)。しかし、やっと分かった。「helped me find a way to laugh」の一節を入れてないのである。何か意図があるのか、気になる…。

次はPeteがヘッドフォンを付けた。Peteオンステージだ!と思いきや、メンバーが下がらない。曲は「Let's See Action」。演奏を始めたのはPeteだけ。Peteのリズムギターが軽快に鳴り響く。こういった曲を聴くと、本当にギターリストとしてのPeteの素晴らしさを実感する。1本のギターでリズムをかき鳴らすだけで、曲のエッセンスを全て表現している。そうこう感動しているうちに、Peteのリズムギターにやわらかいメロディーが入ってきた。Rabbitのピアノだ。そしてPeteのリズムギターの音と同じ音程(?)と軽さで、違和感なくZakのハイハットも入ってきた。次にZakがスネアをパーンと鳴らして曲が盛り上がってくると、いつの間にかPinoのベースがメロディーを下から心地よく支えていた。Simonのギターも加わると曲は絶頂に。準備は整った。サビのところでPeteが「Let's see action!」と叫ぶと、Rogerが追って応える。これでThe Whoの完成だ!ボーカルの主導権がRogerに移ると、Peteはいつものように背中を丸めて(「Pinball Wizard」の出だしの様子を想像してほしい)、高速にリズムをかき鳴らす。
この「Let's See Action」は、今回見たライブの中で、最高の1曲として記憶に留められた。Peteのアコースティッックステージは、これからも1公演に1曲は入っていくと思うが、もし来日したら、もう1度このバージョンの「Let's See Action」を聴いて(見て)みたいと思った。

このLiverpool公演では、先の2公演から「Bargain」がなくなり「You Better You Bet」が入った。「うわ!これ演ってくれるんだ!」と聴いてビックリしたかったが、会場外をうろうろしているときに、サウンドチェックの音でこの曲を聴いてしまい、驚きは半減してしまった。
Keith以降のThe Whoの曲の中にあって、この「You Better〜」は輝いている。オーディエンスの大合唱も凄まじかった。Rogerもマイクを向けて、嬉しそうにしている。会場を見渡すと、オーディエンスの平均年齢は30代後半もしくは40代。そしてもっと年配の方もたくさんいる。総じて考えると、この曲はリアルタイムで聴いた人が最も多い曲なのかもしれない。みんなが張り上げる歌声に、それぞれの思い(想い出)が込められているように感じた。

そして大合唱のまま「My Generation」から「Won't Get Fooled Again」へ。The Whoの演奏よりも、終始オーディエンスの熱気と会場の雰囲気にのまれた本編だった。「Won't Get 〜」が終わり、PeteとRogerが挨拶しているときも、なんだかボーっとしたままだった。
Liverpoolでは、この本編が終了したところでメンバー紹介が入った。Pino、Simonはそれぞれ名前を言うだけ。でもZakのところでは(当然言及しないわけはないだろう)、「いわゆるLiverpool出身のドラマー、Zak Starkey!」と紹介され、会場からの拍手と歓声もスゴかった。Zakもそれに応えるように、手を上げて左右に挨拶をした。余談になるが、「In The Attic」のカメラマンとして同行しているアメリカ人Justin KreutzmannのブログにもLiverpool公演のことが書いてあり…。彼が「Liverpoolでライブなんてスゴいよね。」とZakに言うと、Zakが「そうだね!The Beatlesのホームタウンだもんね。」と応えた…とのことが書かれていた。そういう言葉を聞けるのは、本当に嬉しい。

アンコールは「Substitute」から始まり、おなじみ「TOMMY」メドレーと変わりなかったが、とにかくこのLiverpool初日は「大合唱」につきた。オーディエンスも主役だった。120%、The Whoファンのパーティー!なんだか、一緒に見ていたオーディエンスのみんな1人1人に「ありがとう!」と、叫びたいような熱く、そして暖かいライブだった。

(2006/09/03 b-ko)


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