2004.06.10 Cardiff

[Setlist]
I Can't Explain / Substitute / Anyway Anyhow Anywhere / Who Are You / Behind Blue Eyes / Baba O'Riley / Punk And The Godfather / 5:15 / Love Reign O'er Me / Eminence Front / Drowned / Naked Eye / Real Good Looking Boy / Long Live Rock / You Better You Bet / My Generation - Old Red Wine / Won't Get Fooled Again

(encore 1) Pinball Wizard / Amazing Journey - Sparks / See Me Feel Me / Listening To You
(encore 2) Magic Bus


ワイト島のウォームアップギグ。開場してすぐに場所をキープしたのが功を奏し、前から2番目という夢のような状況で見ることができた。数メートル先でPeteがギターを弾き、歌っている。ああ、嘘みたい。でも場所が近いとか遠いとかそんなことは関係なく、彼らのパワーは圧倒的だった。もう、会場中が熱狂。すごかった。

ライブに備えて最近のセットリストの情報はできるだけ耳に入れないようにしていた。「Who! Who!」の歓声の中、何が来るか全くわからない状況ではじまったイントロは「I Can't Explain」。Rogerが歌いだした途端、大合唱の洪水が後ろから押し寄せてきたのにはびっくり、まさしく歌声に後頭部を叩かれた。これがイギリスで The Whoを見るってことなんだ!「Substitute」での合唱っぷりなんて涙が出そうなほど。4曲目までは2002年に見てきたUSAツアーと同じ曲順だったけれど、まずは「Who Are You」の切れ味の鋭さにやられた。「I woke up in a Soho doorway, a policeman knew my name」とかこの辺り、歌の後のギターがハネ上がるようにスパッ!と決まる度にゾクゾクくる。Peteは手を叩きつけるようにしてこの部分を弾いていて、惚れ惚れと見上げてしまった。曲の最後のウインドミル連発にも痺れまくり。

MCの内容がどうにも聞き取れないながらも、とりあえずPinoの故郷に来たぜ!というようなことを言っているのはわかった。手をあげるPinoにCardiff市民からの大きな応援の声が。続いて相変わらずRogerの歌声がすばらしい「Behind Blue Eyes」。Roger、本当に声がよく出ている。Baba O'Rileyのイントロにはやはり大きな歓声が起こり、Peteのパートでは会場の壁が震えそうなほどの大合唱となった。Rogerのハーモニカは……正直心もとなし。うーむ。

Peteが上体を折ってギターをかき鳴らす。「Punk And The Godfather」!こういう2人でヴォーカルを分け合う曲というのはとても嬉しい。あと細かいけど印象に残ったのはRogerが「g-g-g-g generation」のところの「じぇじぇじぇじぇ」をきちんと発音しててかわいかったというか。「5:15」のPeteのギターソロ。素晴らしい。かっこいいという言葉以外思い浮かばない。この曲自体にはそれほど思い入れはないのだけど、あんなギターソロをやられちゃたまりません。「Love Reign O'er Me」では歌い出しが少し乱れ、しきりにピアノへ視線を送って調整するRoger。なんとかそのまま中断せずに歌いきった後、Peteが「ピアノは合ってた。でもヴォーカルが……」と文句を言って、Rogerは苦笑していた。

それからPeteのコーナーとなり、まずはRogerもギターを持っての「Eminence Front」。私は2002年のツアーでこの曲を聞いていないので、はじめての経験となる。Whoファン内の人気(の低さ。……って日本だけ?)の割りにどうしてPeteが頑なにこの曲をセットから外さないのか以前から不思議だったんだけど、実際聞いてみると悪くない。もっとPetePeteしてるかと思ったら、ちゃんとThe Whoなのだ。そしてPeteひとりステージに残っての「Drowned」。会場中がPeteのギターに釘付け。ああ、何て気持ちいいカッティングなの。とりあえずデジカメで動画を保存してみたり。この瞬間を80秒だけ閉じ込めた。

アコギを持ったRogerひとりが戻り、はて?と思ったところで後ろの人が隣に「おっNaked Eyeだぜ」みたいなことを言うのが聞こえた。そしてその通り静かにはじまる「Naked Eye」のイントロ。な、何てことを〜〜!最初のギターの音で曲名を知って感動したかったのに!ちょっとショックを受けつつも、とにもかくにも「Naked Eye」、最近セットリストに加わったなんて全然知らなかった。アコギ2本だけだからもちろん昔の激しいライブバージョンとは全く違う。でも静かな凄みというのか、熟成された味わいというのか、思ってもみなかったアレンジにすっかり魅了されてしまった。もうJohnもKeithもいないけど、この2人だけでやっていける、という覚悟のようなものを私はこの「Naked Eye」から確かに感じた。

「Real Good Looking Boy」の前ではPeteが曲のできた経緯について説明していた。思い入れのこもった声で。そして響き渡るElvisのイントロ。それにしてもイギリスの The Whoファンって奴はこの曲ですらフルコーラス熱唱するのね……すごすぎ。Rogerもこの曲を大切に歌っていた。続くは「Long Live Rock」、聴いた瞬間もう嬉しくて嬉しく飛び上がってしまった!もう、幸せ。結局ワイト島では歌わなかったので、Cardiff来て本当に良かったなあ。

「You Better You Bet」は大好きな大好きな歌で、セットリストに残っていてくれて感激。Rogerの力強い声が背中を押してくれる気がする。しかしSimon、この曲に限らず随所でコーラスに大活躍。Peteだけだとやっぱり厳しいものがあるだろうことは確かだから、彼の貢献度は高い。でもドラムの横にひっそり静かに佇んでいて、奥ゆかしい。

ああ「You Better〜」よかったなあ、さて次の曲は……とか思っていたら、気が付くとPeteがマイクの前にいない。視線を右にずらすとサウンドエンジニアのおじーちゃん(Who's NextのメイキングDVDにも出てた、ずっとThe Whoと一緒にやってる人。……Bobby Pridden氏というらしい)に詰め寄ってなんだかものすごい勢いで怒鳴ってる。うわわわ、一体何?!するとPeteは不機嫌丸出しの顔で戻り、Rabbitに目で合図。キーボードの音が「ぽろろろろん」と鳴るのを聞いたPete、「Still loud!!!」と怒鳴る……。ひい、すごいもん見ちゃった。マジギレPete。その間Rogerは「いやーしょうがないねえ」といった感じで何事かずっと喋って場を繋いでいた。

気を取り直して「My Generation」。この曲の間もRabbitは最初席を立ってスタッフと話したりして落ち着かない雰囲気だったけど、とりあえずは問題なくなったよう。バンドと観客は構わず盛り上がる。Pinoのベースソロはちょっと今ひとつ?曲の終わりをあまり長引かせず、そのまま短縮版「Old Red Wine」に繋げるニクい演出。ほろりとくる。途中からテンポアップして終わり、本編最後を飾るのは問答無用の「Won't Get Fooled Again」!ステージ上のメンバー達がこれまでにない存在感で迫ってくる感じ。RogerもPeteも、何て頼もしいの。例の長い長いシンセソロの途中からZakにスポットライトが当たるんだけど、それを受けながら悠然と水を飲んでるZak。わざとですか?もちろんドラムソロもRogerのシャウトも最高!

一度奥に引っ込み、アンコール。予想通り2002年と同じTOMMYメドレーだった。まずは「Pinball Wizard」。イントロのPeteのカッティングに巻き起こる歓声や悲鳴は何度聞いても感動的。曲がはじまると大合唱ぶりが更にとんでもないことになっていた。皆この曲大好きなんだな。ああ、そして「Amazing Journey」。もう何も言えません。何か言うとすれば、Rogerのマイク回しがずいぶん控えめになってるのは最近誰かにぶつけてトラブったか何かしたんだろうか。「Sparks」では爆発するPeteにひたすら釘付け、タンバリンを叩きまくるRogerも素晴らしいドラムを聞かせてくれるZakも視界から消えてしまってずっとずっとPeteを見ていた。

「See Me Feel Me」から「Listening To You」に繋がる頃には、今までそれほど苦しくなかった2列目もさすがに後ろから人が詰め掛けてぎゅうぎゅうに。周りのファン達と共に全て一緒になって歌い上げ、大満足でアンコールを終えて去っていく彼らに手を振り……。すると、誰も動かずにずっとステージを見ている。再び手拍子が起こっている。まさかセカンドアンコールなんてあるわけないだろ、と醒めた気持ちで思いながらもとりあえず一緒になって手拍子してると、また2人が出てきた!嘘でしょう!

後から知ったところによるとどうやらここ最近ではMSG、Birminghamの公演で2度目のアンコールに応えているらしい。もう本当に心の底からびっくりした。Rogerがハーモニカを手に、はじまるのは「Magic Bus」。きつきつだった周りにもまた余裕ができて、ゆったりと体を揺らして聞き入る。一緒に「Too much, magic bus !」と歌いながら。近くではお父さんが5歳ぐらいの子供を肩車してあげているのが微笑ましくて、PeteのギターとRogerのハーモニカが気持ちよくて、最高のアンコールだった。

曲が終わってからいつものように2人で肩を組んで客席に手を振り、それからPeteがRogerに何事かささやいてぎゅっとハグ。Rogerは笑っていた。多分、あの後のは観客を意識してのものじゃなかったと思う。たった2人残されたThe Who、2002年の時の(ある意味)消化ライブもPeteの逮捕も越えて、2人でやっていくという意志のもとに新曲を交えて始められたツアー。彼らが放っていたパワーは純粋で、感動的で、真摯で、また色々な気持ちや理屈や説明を超えたところでただただひたすらかっこよくて、本物だった。ライブが終わって、開演前に知りあった日本人のファンの人がいろいろ話しかけてくれたけれど、私は満足に言葉を返すことができなかった。降りだした雨の中、ただ黙ってホテルまでの道をひとり歩き続けた。



(後から、上に書いた『「Who Are You」でギターがハネ上がるようにスパッ!と決まる』部分について過去のライブではどうだったろうと思い、音源を確認してみた。まず2002年のツアー。確かに今聞くとそんな感じで演奏しているけれど、今回のライブほどはっきりとは目立っていない。その前は?と2000年RAHの「Who Are You」を聞いて…思わず泣きそうになった。Johnのベース、やっぱり全然違う〜。歌心があるというか、表情豊かで饒舌というか…。Pinoがよくないとかそういうことではなくて、とにかくJohnのベースの音はJohnにしか出せないんだ、と思い知らされた気分だった。ちなみに2000年Who Are Youからは『スパッと効果』はほとんど見出せず。)

(2004/06/22 hime : 「THREE COOL CATS」よりテキスト一部修正)


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