2002.08.30 Holmdel

[Setlist]
I Can't Explain / Substitute / Anyway Anyhow Anywhere / Who Are You / Another Tricky Day / Relay / Bargain / Baba O'Riley / I'm One / Sea and Sand / 5:15 / Love Reign O'er Me / Behind Blue Eyes / You Better You Bet / The Kids Are Alright / My Generation / Won't Get Fooled Again

(encore) Pinball Wizard / Amazing Journey / Sparks / See Me Feel Me / Listening To You 


どんなに頑張っても、持てる語彙全てを駆使しても、あんなライブを言葉で表現することなどできるはずがない。あの場所にはオーディエンス全てを巻き込んだ何らかのマジックが働いていたと思うし、大きなうねりのようなものに飲み込まれて帰って来れなくなったような感覚だった。あれは、本当に、絶対に、ライブに行った人じゃないとわからない。その場にいなければ決して味わえない。嫌味な言い方かもしれないけど本当にそうなのだから仕方がない。自分がそのうちの一人になれたことを心から幸せに思う。

2公演見られたのは本当に良かった。単純にたくさん彼らを見ることができたのが嬉しかっただけでなく、Holmdel公演は曲目を知らないこともあって純粋にライブ自体を楽しみ、翌日のJones Beach公演はもっといろいろな思い入れや感慨を持って浸ることができた。そこでHolmdel公演のレポは曲を追っていきたいと思う。

NJ州のPNC Bank Arts Centerで見たライブは、当日券で取った一番遠い芝生席で立ち見だった。武道館の最後尾よりはよく見えるかな、といった距離。Robert Plantのステージが終わった後、後ろの方で椅子に座って見ていたいという友達に荷物を任せて、とても座っていられない私は前へ前へ。(結局彼女もほとんど立ちっぱなしだったらしいけど)なんとか柵の一番前にたどり着いてそこでThe Whoを待ち構えた。緊張で体ガクガク。すると、来た!Peteが、Rogerがステージに!

途端に湧き上がる歓声。Peteが体を低くしたかと思うと、「ジャッ、ジャジャッ」とギターリフが。「I Can't Explain」だ!私の記念すべき生フー1曲目はこの曲なんだ〜と感慨深くなる。それから畳み掛けるように「Substitute」、「Anyway Anyhow Anywhere」とヒット曲3連発。いきなり豪華過ぎ。この3曲のあたりは、ひたすらPeteがギター弾いてるというそれだけで泣けた。Peteがいるよー、本物だよーという感じ。次にRogerがギターを持ったなと思ったら「Who Are You」だった。コーラス大合唱。NYCのコンサートでもこの曲やってたけど、痺れるほどのかっこよさ。特にPeteがギターをギャンギャン鳴らすところ。

「Who Are You」で思い切りヒートアップした会場が意外な選曲「Another Tricky Day」で少し落ち着いた。次は「Relay」。この曲は、日本にいる時に今回のライブがCDリリースされるアンコール・シリーズの曲目で目に入ってしまい、半ば予期していたもの。でも、後から知ったところによると一度セットリストから消えてまた復活したらしい。皆で「Reeeelay!!」と合唱。その後「『WHO'S NEXT』から」とMCが入って、「Bargain」が。これも「I'd call that a bargain, the best I ever had...the best I ever had」と皆が声を合わせる。もう大興奮。すごいすごいすごい!

でも本当にブッ飛んだのは次の「Baba O'Riley」だった。何もかも凌駕してた、生Baba。まずあのイントロ始まっただけで涙がバァー出た。会場も異様な熱気に包まれている。そしてのっけから誰もが歌う歌う。気持ちいい。「Don't cry, don't raise your eye...」の部分では「ああPete!」すかさず続く「Sally, take my hand...」で「ああRoger!」と恍惚状態、最後の「They're all wasted!」で拳をびしっと振り上げて、あとはRogerのハーモニカに合わせて縦にずんずん揺れる体。まるでトリップしたみたいな感覚だった。(本当にしたことはないので、あくまで想像)

Peteのソロコーナー、「I'm One」になるとトイレ休憩だかビール補給だかに立つ人多数。そんな、勿体無い。でもこの日は私も「Peteのソロなら「Drowned」の方がよかったなぁ」とか考える余裕がまだあった。もちろん「I'm One」も素晴らしかった。続けて同じ四重人格から「Sea And Sand」。聞けると思ってなかった曲。続く「5:15」でまた一気に盛り上がった。いつものJohnのベースソロがPeteのギターソロに変わっていた。Johnの不在を思うと悲しい。Pino氏はとてもよくやっていたと思うけど、彼はJohnではない。

Rogerが手をすっと上に上げ、Rabbitの手がモニタに大きく映り、美しいピアノから始まったのは「Love Reign O'er Me」。一緒に歌いながら、ああ、なんて美しい曲なんだろう、Rogerの声はなんて素晴らしいんだろうとしみじみ思っていた。まるで奇跡のよう。学校がどうのこうのという長いMCの後にはさらに聴かせ系「Behind Blue Eyes」。こちらも美しい。続けて無法?無法が来ちゃう??と期待に胸を膨らませていたら、「You Better You Bet」だった。「You better you better you bet」大合唱!Rogerもマイクを観客側に向けて煽っている。

またRogerがギターを持った。もしかして……と思った通り、「The Kids Are Alright」。やった!Royal Albert Hallでのライブと同じロングバージョン。かなり長い印象。もちろんギターパートはとても激しいんだけど、なんていうか優しく暖かい感じがする。The Whoはいつでもkidsに優しい。続けて、ああもうたった1秒でイントロクイズに正解するだろう曲、「My Generation」が来た!実はこの曲、オーディエンスはメロディとコーラスどっちを歌うんだろうと不思議に思っていたんだけど、結果は「両方」だった。「People try to put us d-down, Talkin' 'bout my generation !!!」ベースソロではPino氏に大きな歓声が。今までCDで聴いたどの「My Generation」とも違う長いバージョンだった。うん、これ好き。とにかくPeteがすごい。

本編最後を飾ったのは問答無用の「Won't Get Fooled Again」。照明が落ちて6面のモニタ全てにレーザー光線の映像が映った。観客、狂乱。ロックジェット誌で甲本ヒロト氏も言っていたけど、『WHO'S NEXT』の曲には確かに何かがある。人の心をがくがく揺らす何かを持っている。マイクを持った拳を突き出すRoger。そしてPeteが長い腕を派手に回す度に私達観客のテンションも否応無しに上がっていく。なんて場所にいるんだろう、なんて瞬間に居合わせたんだろう!とRogerと一緒に叫びながら夢見心地になった。ただ、この日の時点では観客皆を結びつけるという面では「Baba〜」の方が上かな?という感もあり。そんな思いは翌日吹っ飛んだけれど。

ここで一旦メンバーが下がり、モニタにJohnの姿が次々に映し出された。皆ライターの火を揺らしてJohnを悼んでいる。しまった、ライター鞄に置いてきた。取りに戻ることもできず諦める。あちこちに浮かび上がる小さな灯りがとても美しかった。時々「The Oooooox!!」という掛け声もかかっている。映像が終わってから、歓声に答えてメンバーが戻ってきた。アンコールは「Pinball Wizard」から。Peteが激しくギターをかき鳴らすと観客から大きな声が。ああこのイントロが生で聴けるなんて。Rogerはその間じっと体を半分に折り曲げていて、ヴォーカルパートに入るとがばっと体を起こしてがーーっと歌いだす。かっこいい!「Sure plays a mean pin ball !」と拳を振り上げ、一気に盛り上がる会場。

続けて入るピアノ、これってもしかして?「Amazing Journey」だ!スタジオ版『TOMMY』でイントロを聴く度に毎回ワクワクしてしまうこの曲をやってくれるなんて、嬉しすぎる。Zak、頑張ってる。Zakのドラムは全編通してすごくいい。これは続けて「See Me Feel Me」でエンディングなんだな、と思ったら……「Sparks」が!なんて幸せなんだろう!両手にタンバリンを持ってガンガン叩きまくるRoger。そして何よりPeteが素晴らしかった。Pete!Pete!

終わってほしくない「Sparks」が終わってしまうと、やはり最後は「See Me Feel Me」。Rogerの声が厳かに会場に響き渡る。続く「Listning to you, I get the music...」を会場のいる皆が残らず合唱する中、やっぱりPeteに目が釘付けになった。体を低く折ったりふんぞり返ったり、目を瞑り恍惚とした表情で弾くPete。曲の最後の方で弦が切れてしまったようで、それでもうまくカバーしていた。夢のような、夢のようなステージは、PeteとRogerが肩を組み、観客に手を振って去って終わった。

ライブ中の、そしてライブが終わってからの気持ちを表す言葉がうまく浮かばない。本当に本当に素晴らしい体験だったから。悩んでいたら、同じステージを見た16歳の女の子が記した感想がまさに「あなたは私?」と思うような内容だった。フェアじゃない方法かもしれないけど、もはやこれ以上の言葉は見つからない。何度読んでも泣けてしまう。その部分だけひっそり引用させて頂く。

Every song they did was great. I will never, ever forget last night. It was the best night of my life. Just thinking about it is making me tear up, because the show was just too amazing for words. Thank you, thank you, thank you Roger and Pete for continuing the tour. You made my dream come true.

(2004/06/22 hime : 「THREE COOL CATS」よりテキスト一部修正)


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