2001.11.09

【 MEMBER 】

Todd Rundgren
John Entwistle
Ann Wilson
Alan Parsons
David Pack
Steve Luongo
Godfrey Townshend

【 SETLIST 】

01. Magical Mystery Tour
02. Sirius〜Eye In The Sky
03. Barracuda
04. Hello, It's Me
05. Biggest Part Of Me
06. The Real Me
07. Back In The U.S.S.R.
08. Lady Madonna
09. I'm Down
10. Fool On The Hill
11. While My Guitar Gently Weeps
12. Here Comes The Sun
13. Lucy In The Sky With Diamond
14. You've Got To Hide Your Love Away
15. Maybe I'm Amazed
16. Rain
17. Blackbird
18. Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey
19. Revolution
20. Day Tripper
21. Ticket To Ride
22. I Want To Hold Your Hand
23. Hey Jude
-----ENCORE-----
24. Birthday
25. Golden Slumbers〜Carry That Weight〜The End

 

友達から「トッド・ラングレンがビートルズをカバーするライブがあるらしいけど行く?」と誘われた。
「A Walk Down Abbey Road - Tribute To The Beatles」と題された、Todd Rundgrenが中心となってその年全米を回っていたビートルズ・トリビュート・コンサートの事である。
The Beatlesは大好きで大好きでたまらないバンドの一つだが、カバーとなるとそんなに食指が動かなかった。
でもこの友達の一言が、私の気持ちを「これは絶対行く〜っ!」に変えた。

「John Entwistleが一緒に来るらしいよ」

大変申し訳ないことに、トッド・ラングレンもアン・ウィルソンも、アラン・パーソンズも名前しか知らない。
だけど、Johnがまた見られるなんて!WHOじゃないけど、そんな事構わない!彼が見られるんなら!
ついでにまだ聞いた事のないトッドの生の歌を聴けるなんて、一石二鳥ではないか!

あれ?これって、Ringoと一緒にJohnが来日した時のシチュエーションとよく似てる…。

そんな感じで、大興奮のまま私がチケットを取る事になった。
既にチケットの発売は始まっていたので、直接招聘元に電話する。まだチケットはあるだろうか…。
確認すると、「まだチケットは大丈夫ですよ」とのこと。連絡先や振込についてやり取りが始まる、と思ったのだが、第一の質問はこれだった。
「どのアーティスト目当てに来ようと思われたのですか?」
なんだろう?これは今後の参考にでもするんだろうか?
私は一も二もなく、「John Entwistleです!」と返事する。

チケットが送られてきた。結構前の方で嬉しくなる。なかなかよいポジションではないか。
そして当日、ちゃんとJohnの真正面の席があてがわれていた事が分かりちょっとびっくり。もし質問に「トッド・ラングレンです」と答えてたら、センターポジションだったんだろうか?

なんだか怪獣映画のテーマ曲のような音楽と共に、メンバー登場。あぁぁ、本当にJohnがいるよ〜!と興奮。
オープニングは「Magical Mystery Tour」。さぁいよいよこれから旅が始まるぞ、という感じの曲で大好きな曲の一つだが、もうワクワクしっぱなし。
もうすでに私の目にはJohnしか映っていない。久々に間近に見る、あの凄い指裁き。思わず引き込まれる。
2曲目からは、それぞれのミュージシャンの代表曲が歌われる。聴いたことのある曲もあり、それぞれ楽しめた。でもなかなかJohnの順番が回ってこない。
彼の前にはマイクすらない。コーラスはつけないだろうな、とは思っていたが、まさかこのまま彼の曲はやらないなんてことは…?と段々心配になる。
そこへようやく「John Entwistle!」と紹介。お決まりの「Boris」か「My Wife」かなぁ、生で聴くの久しぶりだなぁ〜、なんて思っていたら…。

全く予想してなかったイントロ!
うわぁ、「The Real Me」だよ〜〜!これやるなんて、全然知らなかったよぉ〜!どうしよう〜!(←どうしようもないのだが、それくらい動揺していた)
これぞJohnのBassの真骨頂!唸りまくるベース、動き回るベース、もう完全に主役。
ボーカルもなかなか勢いのある人で、ちょっとだけWHOを疑似体験できた。
曲が終わった後、今までで一番大きい歓声と拍手と、そして感嘆の溜息が会場を覆う。そう、それくらい凄かった。
まさかこの曲を、生で聴けるなんて。その事実だけで感動してしまい、「今日来てよかった」と早々に満足感に浸る私。
隣の友達も、唖然としていた。やっぱり凄いよね。

それからは、Beatlesオンパレード。
さすがにここからは、もう何度聴いたか分からないくらい繰り返し聴いてすっかり体に染み込んでいる曲が目白押しで、感動というより楽しみながら聴くことができた。
Ringoと共に来日した時もそうだったのだけど、Who以外の曲をやるJohnというのはなかなか新鮮である。そして、Johnがベースを弾くBeatlesというのも、これまた新鮮。
Beatlesの曲をカバーするということは、Johnにとっては「Paul McCartneyのベースをカバーする」という事になるだろう。
全く違うようにすると、曲調まで変わってしまう恐れがある。かといってそのまんまカバーすると、せっかくのJohnのベースの持ち味が失われてしまう。
その当り、さすがはJohn Entwistle。決して曲の雰囲気を壊すことなく、控えめな所は控えめにしているのが感じられた。それでいて、ちゃんと彼独特のベース・メロディーが聞こえてくる。特に、ベースが動き回る「Rain」「Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey」などでは、これぞJohn!といった面目躍如ぶり。
一応Paul McCartneyのベースに忠実そうに聴こえつつ、所々で唸りを上げているのが何だか可笑しい。Beatles(Paul)のメロディアスなベース・ラインをちゃんと踏まえたうえで、John独自の色が出てくるのにはただただ感動した。でも個人的にはもっと思いっきりベースばりばりでも、嬉しかっただろうけど。
この日のJohnのベースは、ネックの所がピコピコ光っていた。ステージが暗くなるとそれがよりはっきり分かる。暗闇でもしっかりベースが弾けるように開発されたんだろうか。そんな一風変わったベースを持っていても、それが絵になるのがJohnだ。

このライブでは、出演者みんながとても楽しそうだった。Beatlesフリークで有名なトッドは、それはもう楽しくて楽しくて仕方ない、といった感じで舞台中を跳ね回っていた。
アン・ウィルソンは、彼女が大好きだというPaulのソロ曲「Maybe I'm Amazed(恋することのもどかしさ)」をしっとりと、また情熱的に歌い上げた。改めて「いい曲だ」と感動。
アラン・パーソンズは、「Blackbird」を弾き語りで。彼の緊張が客席にまで伝わってきて、みんな少し固唾を呑んで見守っていた状態。歌い終わった後、彼も客席もなんだか「ほっ」としていたのが印象的だ。

John自身は、いつものことながら淡々と弾きこなしているように見えた。
The Beatlesとほぼ同時期を同じプロフェッショナルのミュージシャンとして歩んできている彼にとって、いわゆる同世代のライバルだったBeatlesの音楽をカバーする、というのはどんな気持ちなのだろう?
トッドやアンたちのように「Beatlesのファン」というスタンスではなく、ミュージシャンとしての「仕事」としてやっていた部分もあるかもしれないが、それでも大好きな仕事である「音楽を演奏」しているJohnはきっと幸せだったに違いない。

彼が天国へ旅立つのは、それから半年と少し経った後のことである。

 

(2005/01/28 みるきー)


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